わたしが一番好きだと言える映画について。ちょっと真面目に語ってみる日
こんにちは。Coaeです。
時々、思い出したようにこのブログを更新しています。
今日は「わたしが一番好きな映画」について。
わたしは映画鑑賞を趣味としており、多いときはレンタルして3日で5本ペースで鑑賞したり、好きな作品はBDを購入して定期的に何度も鑑賞します。仕事の関係で時間が取れないこともあったので年間に換算するとそこまで多くないとは思いますが…学生の頃は毎週5本まとめてレンタルを重宝していました。ちょっと安かったので(笑)
そんなわたしは周りから「一番おすすめの映画ある?」「今までで一番面白かったのって 何?」と聞かれるたびとても困っていました。映画は作品によって作りての意図が違うし、芸術性だったりエンターテイメント性だったり見る視点によって変わるんですけど?!とめんどくさいことに色々考えてしまっていつも答えを出せずにいます。。あとは万人受けしない作品も結構見ているってのもあるんですが・・・
そんな中、今日はわたしが一番好きだと言える映画についてちょっと語ってみたいと思います。
「一番面白い」や「一番おすすめ」は決められないんでしょ?
と言われるとその通りなのですが、今回はあくまで「わたしが好き」ということ。
わたしの好きな世界観やテーマ、感情など「とにかくわたしの好きが一つの作品にたくさん詰まっている作品」について語ってみようと思います。
どうしてもネタバレを含まずに書けなかったので、あまり中身を知りたくない方はご覧になってからお読みいただく方がいいかもしれません。
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敬愛する映画監督の1人、ティム・バートン監督作品『BIG FISH』。
あらすじ
ジャーナリストである主人公のウィルはまもなく父になる。そんな中、長年疎遠だった父エドワードが末期の病であることを知り、数年ぶりに実家へ帰省することとなる。2人が疎遠だったのは、どこか腹を割って話せず本当の姿が見えない父への憤りから。父の話はいつも空想的であった。子供の頃はおとぎ話のようで楽しかった話も、年齢を重ねるにつれて耳をふさぎたくなる。「僕は本当の父さんが知りたい。」ウィルは改めて父エドワードの本当の人生について話してもらえるよう試みるが・・・
この物語は、ざっくりいうと父と息子の関係性を描き、主に父の大げさでロマンチックに語られる彼の半生が基盤になっている。
原作はダニエル・ウォレスの『ビッグフィッシュ〜父と息子のものがたり〜』
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(専業主婦になったので、近々原作も読んでみたいなと思っている。)
ティム・バートンが魅せるリアルとファンタジー
『シザーハンズ』や『チャーリーとチョコレート工場』『コープスブライド』など、彼を代表するロマンチックかつゴシック、ファンタジーな世界観は皆さんも想像しやすいのではないだろうか。一方、この作品はゴシックめいたシーンはほとんど無く、その点ティム・バートンぽく無い印象を持つ方も多いと思うが、彼の持つ独特なファンタジー表現はやはりとても素晴らしく表現されている。
末期の父が寝室で横たわる姿や、口を開けばホラ話を始める父への嫌悪感を示すウィルとのぎすぎすした空気、病室でベッドに横たわる父に付き添うウィル、父の葬儀など、現実ーリアルーは少々物悲しい場面はあるものの比較的穏やかないわゆる「普通」の世界が広がり、
父エドワード・ブルームが自ら語る出生や妻との恋の物語は黄色や青など美しい色彩に溢れ、サーカスで狼男と出会い、魔女の目に自分の死に方を見たり、街を守るため巨人との戦いに出たり、とても幻想的ーファンタジー ーな世界を観せてくれる。
ただ幻想的なシーンだからといってCGに頼ったりしない。寧ろ本当に木に車をぶら下げ、スタッフみんなで水仙の花を植え、その真ん中にエドワード(ユアン・マクレガー)を立たせて撮影した。
また、エドワードが生まれた頃や幼少期は南部で強制的な人種隔離政策が終わる以前の時代を背景にしているが、現実的なシーンにおいて、エドワードを取り上げた医師や幼少期一緒に遊んだ友達は黒人であった。
エドワードは人種差別主義者じゃなかった。彼はそうした境界線を持とうとしない男だった。
ーティム・バートン「BURTON ON BURTON」より
このリアルとファンタジーの混在がとてもバランスよく、とても惹きつけられるのだ。
余談だが・・・
私の大好きなシーンで、年老いたエドワードと妻サンドラがバスタブで静かに抱き合うシーンは切なくもあり愛おしいとてもロマンチックなシーンだと思うのでぜひ見てほしい。何十回と観ているのに絶対泣く。
人間味のある手作りでやり通すことが常に大事だったんだよ。何が本当で何が本当じゃないかっていう映画の主題のおかげでね。
ーティム・バートン「BURTON ON BURTON」より
何が本当で何が本当じゃないか
これがわたしが一番好きなところである。
主人公の父親であるエドワード・ブルームは自らの人生を空想を交えて語っていく。巨人との旅や不思議な街、目を見た者の死期を映す魔女など一風変わった人々との出会い、とにかく大げさに脚色されている(本当じゃない)人生なのだが、そこで出会った人物は実在していて全くのウソでもないわけである。
「本当」と「本当じゃない」が混在しながら物語は進むのだ。
ウィルはそれを白黒つけたがり、だからこそ彼が選択したのはジャーナリストという仕事だった。一方の父はアメリカ全土を巡業するセールスマンだった。このあたりでも2人の違いを揶揄していたり、会話以外の場面からも2人の確執を映し出しているのだが、物語が進むにつれて不思議と感じてくるものがる。
それは感情(それも奥深くにある)の核心はどちらも同じであるということ。
魔女や巨人はメタファーであり、「本当ーリアルー」と「本当じゃないーファンタジー ー」の持つ根っこの感情みたいなものは繋がっていて、必ずしも「本当ーリアルー」を知ることだけが重要なのだろうか?
映画の後半でウィルは死期が近づくエドワードに促され、彼の最期を語り始めるのだけど、それはエドワードの好きな大げさでファンタジックな物語となる。
また、最後に登場する息子とその友人たちと話すウィルはまるでエドワードそっくりであった。
ここで、ウィルが父エドワードとの和解を示しているのではないだろうか。
ここからは私の主観的な想いも交えてになるのですが、
- 現実とは何か、それが本当に重要なのか。
- そもそも現実とはわたしたちの認識できうる範囲であって、主観に過ぎない。
- 人間関係における「親と子」のなんとも奇妙な関係性について。
この親子の物語の中で、直接的にではなく、なんとなく、やんわりと、五感にそう問いかけられているようなこの映画の主題がわたしは大好きなのです。
また、わたしには父親がいません。幼少の頃亡くなっているので、悲しいとか寂しいとか(まったくなかったとは言い切れませんが)何というか最初から存在してなかったに等しい感覚なわけですが、この映画を観ると理想の父ちゃん象というか、父ちゃんってこんな感じなのかなと、「父」という存在を教えてくれるような気もして定期的に観たくなります。
書けば書くほど色々感じることがあってうまくまとめられず、なかなかアップできませんでしたが・・・お付き合いいただきありがとうございました。
少しでも興味を持っていただけたら、ぜひ一度ご覧くださいませ。
優しい気持ちといつもより少し家族が愛おしく感じるかもしれません。
※この映画についてティム本人のコメントはこちらから引用しました。